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Diary MECHANICALTURK 1st

A MACHINE 
“Mechanical Turk”
1st 

A MACHINE

Mechanical Turk

本コレクションの制作は、2010年のアメリカのメディア理論家のポストを起点としました。

The 19th century culture was defined by the nove,
the 20th century culture was defined by the cinema,
and the culture of the 21st century will be defined by the interface.

19世紀文化は小説により定義され、
20世紀文化は映画により定義され、
21世紀文化はインターフェースによって定義されるだろう

2024年現在、ファストファッションを始め、アパレル分野もAIによるトレンド予測をマーケティング広告宣伝などの幅広い分野に活用し、データに基づいた高いサステナビリティーと利益の向上を実現しています。
また、サプライチェーンの発展により年を追うごとに生産効率が大幅に上がり、ここ数年でアパレル業界の構造は大きく変化しました。

しかし、ラグジュアリーブランドやファストファッションに位置付けのない我々のようなブランドは世の中の変化に影響は受けることはありますが、我々自身がそれに呼応するほど遷移していないように思います。

それは我々のようなブランドは、デザイナー自身の体験にデザインが大きく左右される点や大衆的に身につけやすく安価な洋服を作ることが主要な目的ではない点などを鑑みてAIを導入するに至らないように思いますが、AIに頼りたくないという人間的自主性が要因であるように思います。

前者と後者で目的は大きく違いますが、余剰在庫を出さないなどの過程には共通点がいくつかあります。本コレクションはこれまで感覚的に行い閑却していた過程を再考し、主題としました。AIによる変化を手法と捉え、これまでの経験をデータ、自らをシステム化することでコンセプトに位置付けました。

– 自らをシステムとして捉える事をコンセプトとして位置付け、A MACHINEが過去11シーズンの中で制作してきた100品番から、PCASmetrics(Point of Contact with A MACHINE and Society metrics)と呼称される独自の採点方法 にて数値化し、コレクションに良い影響を与えたとする上位30品番を算出。

– それらの品番は特徴的な要素を4項目(Item,Textile,Pattern,Specification)に分類され、その要素の組み替えを行なっていくことで今回の新しい衣類が制作される。組み替えに使用された要素もまた数値化されている

– それが構成される其々の要素が持つポイントにしたがって、新しい衣類にもあらたにPCASmetricsの平均数値が算出される

今回、制作した新たな作品群は構成する要素の組み合わせによっては必ずしも高い点数PCAS metricsを獲得しているとは限りません。例えば、店が多く仕入れを行っている衣類はPCAS metricsの数値は低く算出されていて、少ない仕入れの物が高い数値を持っているという場合もあります。

つまり、それなりに大きな一般企業であれば何処でも行なっているような自社分析、売れ筋分析をA MACHINEというファッションブランドにおいてそのまま導入しているという事は異なる目的で行なっているということを理解してもらえたら嬉しいです。
そもそも、常識的に考えれば、一般的ではない作りの衣類を販売している以上、その構成する要素を言葉に返し、複数の組み替えを行なうことで1つの衣類に反映させるということは一般的に考えられる売れ筋からはかけ離れてしまうのではないでしょうか。

今回のコレクションはファッションデザインの主体が一体どこにあるのかという前シーズンから続くA MACHINEが持つ一つの問いから発生しており、敢えて自らをシステム化することで、デザインの主体が何処かに消えてしまう、何かの隙間に入ってしまう、ような方法に取り組むことでファッションデザインの方法を刷新する試みである捉えています。

前作の4rulesforthoughtにて制作された拾ってきた木の枝の形状でパターンが組み替えられたショーツ、椅子の形をしたトートバッグと同様に、AIによる社会の変化を一つの手法として捉えて制作することで想像し得ない新しいイメージを作り上げたのではないでしょうか。
言葉だけではあまりに分かりづらいのでこれから少しずつですが、単品毎での説明もDiaryで行なっていければと思います。


個人的にはとても大切な事だと感じているので題名“Mechanical Turk”について。

今回、彼はコレクションの題名の由来やその背景を私には多くは語りませんでした。
Mechanical Turk – 機械仕掛けのトルコ人という聴き馴染みの無い言葉は何処から出てきたのだろうか?と気になり、インターネットにて少し調べることにしました。

出てきたのはAMAZON

機械仕掛けのトルコ人の中にはチェスの達人が入っていたのです。

狭い机の中でその操り人形を一生懸命動かしているチェスの達人と同じように、自らをシステムと位置付けたA MACHINE は手と頭を動かし新しい衣類を模索します。今回の展示での象徴的な青のスタイロフォームのモジュール什器も彼らが手作業で丸3日寝ずに手でカットして繋げた物です。AIによる変化を手法として捉えているものの、その固い箱の中では人間が汗水垂らして仕事をしているという自身に対しての一種の皮肉めいた題名に驚かされました。

表面的には、システマチックに感じられるコレクションではありますが
“ You are not a machine,but like a machine ”
– あなたは機械ではないが、機械のようだ –
というA MACHINEの名前の由来でもある人の営みの豊かさについてリサーチする姿勢に立ち返ってきます。

敢えて言わないという態度を保つ中で、自らに向く皮肉が用意しているのは毎度のことですが、その真っ直ぐな姿勢がとても気持ちよく感じます。

豊かさ、といった観点から今回のコレクションを改めて見つめ直してみると、自らをシステムとして捉え、そのシステム化した自身に人間的豊かな仕事を要請された時に一体何が起きるでしょうか。世間の流れ程、大きく変わっていないファッションシステムの中で新しい取り組みを行なうという事は、過去の経験や体験を交えた自分語りで気持ちよく終えるのでは無く、皮肉を交えて社会との接点を持とうとする挑戦的な姿勢を示す事なのかもしれません。

何か新しい物事に挑戦する姿勢というのはどのような立場であれ、その背中を見て勇気を貰えるモノです。私も今回のA MACHINE の展示を見て、励まされ、勇気を貰いました。そして、ファッションというエンターテイメントに心が動かされるという事とはどういうことなのか見つめ直す一つのキッカケとなりました。  

決してムツカシク考えたい訳では無く、僕と同じように、このダイアリーを見て読んで頂いて、A MACHINE の作る衣類に少しでも興味を持って接してもらえる、楽しんでもらえる一つのキッカケになってくれれば嬉しく思います。

まだまだ暑さは続きますが新鮮さを前にしたらあまりそんな事は関係ないのかもしれません。

ウォッカコネクティングピープル
近澤

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