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Diary 2022.06.21 ISSUETHINS “INTORODUCTION”

ISSUETHINGS for VODKA connecting people
– Tote Bags –
“INTORODUCTION”


全然雨降らないじゃん、ほんとに梅雨なのか??と思っていたけどちゃんと土砂降りです。ありがとうございます。

それでも、今日は気分がいい。 ISSUETHINGSの別注が昨日ようやく完成し届きました。商品説明は明日か明後日書くとして文字のみのイントロダクションを。

当店とISSUETHINGS との出会いは、ある1着の汚れた帆布で仕立てられたコートが店に送られて来たことから始まる。とても気に入り、そのあと展示会前にアトリエにお邪魔し、第一号の取引先として始めることになった。当時、本当にとんでも無くどうしようも無く暇な状態のお店だった。にも関わらず、ISSUETHINGS の話題性のお陰で初めて自店の洋服を多くの人に手に取って貰え、素直にとても嬉しかった。彼らとの付き合いがなければ、今のこのお店の形は全然違う物になっていると思う。ただ、今もそこそこ暇です。

そして、今回彼らと初めて別注という別注を作ったのでその経緯を私見と今回のコレクションの内容と共に示していきたい。


当方の前職は某百貨店。能力も無くペェペェの状態で辞めてしまったので大した実績は無いのですが、それでも名だたるブランドの売上の作り方などを数字と体感で理解することはそれまでの洋服好きというだけの感覚から違う尺度で少しは物を見る事が出来るようになったと思う。当時の会議で頻繁に出てきていたワードにSLG / スモールレザーグッズという物があった。いわゆる、メゾンブランドというのはメゾンコードが存在しており、それをSLG / スモールレザーグッズに落とし込む。グッチなら蜂や蛇、マルジェラなら四つタグ、ボッテガならイントレチャート、そんな感じ。

衣類は身体や年齢、似合う似合わないが少なからず発生するため、そういう身体から少し離れた物で新しいファンや服は買わないけどそのブランドに憧れている人から売上を取る。そういうドル箱作りの狙いである。
そんな事知ってるわ!というのが大筋と思いますがどうかご勘弁を、

当店が扱うような独立系のブランドにはISSUETHINGSも同様、小物の商品は意外と少ない。一方で、ISSUETHINGS には分かりやすくロゴなど無いものの、哲学としてのデザインコードが明確にある事から、付き合っている中でこれを何かそのような形に応用出来ないかと考えるようになった。
しかし、それだけでは物足りない。彼らが人間的な温かみを非常に大事にしていることを物やチームと触れ続ける中で理解してきた。SNS 等で匿名性を保つ事は、距離を取る事よりも人間味を保つことに繋がっているように思う。なので経済的な論理は必要であるけれど、シグニチャー的な物の他に、ブランドとしての姿勢が感じられる何かを販売方法やデザインとして落とし込めないかと日々考えていた。

所謂、メゾンブランドのSLGとはまた違ったISSUETHINGSの良さが詰まっていて、その先の人の何かが感じられ、かつ誰でも自由に楽しんで貰える。結果的に、ISSUETHINGS の今後の洋服も気になってくれるような小物アイテムを作ることはこのような記号性の少ないブランドにとって新しい何かになる得るのでは無いだろうか。
“身体に纏う必要の無いもの。軽いイメージの物。日常に根ざす物。自由度の高い物。”として、“トートバッグ”の作成を挑戦的にお願いすることにした。


付き合い始めて、この二年の時の流れから、すぐには生成されることの無い共感覚を持って企画に取り組むことが出来た気がする。


ISSUETHINGSの今回の春夏の商品にはいくつかのリファレンスが存在し、そのうちの一つには、”布の彫刻”で知られるあるフランツ・エアハルト・ウォルターというドイツ人のアーティストの作品が挙げられる。

作品を見る機会が日本ではなかなか無く、実物は見たことは無いものの、そのアーティストの作品が視覚的に非常に興味深く、店をやる上での一種のネタとして以前から注目していた。表層的に捉え、言葉遊びとして、言葉をひっくり返し”彫刻の布”というテーマを持って今回の商品作りを進めることにした。

まず鞄というアイテムの特性に目を向けた。本来、鞄の機能性・スペックというのは、容量や収納で表現される事が多い。それとは真逆のマチのない書類くらいしか入らない鞄。そして、そこに立体的な何かを縫い付ける事を提案した。従来的な数的スペックで言えばポンコツ。それでも僕なりには理に適った仕様となっている。戦闘力を測るスカウターが備わった世界では受け入れられないかも知れない。今の世界にはまだ違う尺度があるはずだ。

まるで彫刻のように、一枚の布の中にポツンと何かの形が浮かび上がるような仕様。それをデザイン違いで2枚作りそれぞれリベットで固定し重ね合わせるようにする。トートバッグの中に薄い物以外を入れると都合が悪いように、互いに中身が干渉し合うという制限を加えた。それは非常にパーソナルな理屈で、大きい鞄も好きだけど、容量があるとなんでもなんかんでも突っ込んでしまう。鞄の中でペットボトルから出る汗で書類は濡れるし、片付けが出来ず何が何処にあるか分からなくなってしまう僕にとって、その行動が制限されてしまえばそのようなことが無くなるという。

超個人的な理屈で制限を加えながらも、その物自体がそこで終わってしまうことがないよう、そこにISSUETHINGSの象徴的なディティールや仕様を通じて自由に遊べる部分を作り上げる。この商品は肩紐2本とトートバッグの本体2枚で構成され、それぞれが象徴的なリベットとボタンホールで繋ぎあわされている。それぞれ1つのトートバッグとして使用することも可能だし、紐の使い方次第で使い方はかなり幅を利かせる事が出来る。腰エプロンにしたり、ベストにしたりといったといった具合に。
そして、生成り色から製品染めの後加工で6色のカラーパレットから選ぶことが出来る。(別料金が掛かります) 今シーズンのアウターと同様の生地を使用しているので同じ色でオーダーし組み合わせて使うのもいいと思う。

どのシリーズでも使われてきていた象徴的なリベット、発表までに2年の時間を費やしたテキスタイル、ポケットの配置、製品染め加工。どれもISSUETHINGSらしいデザインコードが詰まった作りになっていながら、後から色が選べたり、着こなしの自由度の高い“Tote Bags”が生まれた。


シンプルな構造でとても便利、色が選べて、自分の気分に合わせて様々な使い方出来る。結局は商品の説明としてはそれだけなのですが、こういったプロセスを経て今回の商品は成り立っている。作り手から見ても、売り手から見ても、買い手から見ても、物の先には人がいて、その先の人には感情がある。商売が下手でサラリーマンを辞めてまで店を持てる程の器がある人間では無い事は3年間で痛感した。それでもこうやって、人を理解し、その先にある物を一緒に作り上げていく事が出来ることにやり甲斐を感じる。ハンドメイドなんて言葉もそもそもよく分からない。洋服なんてそもそも全部工場の方々が毎日一生懸命縫ってくれる事で出来上がっている。この今文字起こししているスマホだって工場で人の手で組み立てたり検品をしている。

それだけじゃない部分が通じ、物の価値として備わって、その先のお客さんの日々の楽しさとして使って頂けたらとても嬉しい。


次のDIARYで商品説明します。


VODKA connecting people / 大阪府大阪市西区江戸堀1-18-5
Jun Chikazawa / 近澤 惇

Brands.
AUBETT / ENSOU. / EESETT&Co.
ISSUETHINGS / MASU / SEEALL / SOWBOW
GABRIELA COLL GARMENT / RAINMAKER KYOTO 
A MACHINE / Call / RANDY / Scha Hat  
and used clothing


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