小さな模型
図工室がなにより好きだった。片付けるのが苦手だった。昆虫はかせになりたかった。いつのまにか昆虫は嫌いになった。それでも片付けは相変わらず苦手だ。自分の手元にある小さな物しか愛せない小さな少年だった。ボロボロのスウォッシュが入ったジャージは膝の破れかたがお気に入りだった。ぶりーふを履いてると好きな子の前で馬鹿にされてしまう。足が速くないと。トランクスを履かないと。下着をトランクスに変えると授業中にトイレに行けるようになった。くるぶしソックスに履き替えると少しだけヒエラルキーが上がったような気がした。ファッションを通じて少しずつ自身の身を守ることが出来るようになった。それでも片付けは苦手だった。ずっと生きている心地はしなかった。
自分を守るための外殻はある基準点を越えた時から、他人からの評価のためという観点から解離していく。いつしか自分の手元にある小さな虫のような物へと純粋さを取り戻してきた。洋服という物を好きでい続けることと、それが一個人として小さな何かとして生活を豊かにすることをどのように表現出来るのだろうか。
周辺の環境に大きく影響をされながら、自身にしか経験しえない小さな営みや繋がりを繰り返していく。繰り返しの中で小さな摸型を作り、その模型を縦に積み上げていく。そんな思いで5年間お店を続けてきた。
一部の方にはお伝えしているが個人的な事由でウォッカはこの場から離れないと行けないことになった。今まで行ってこれたイベントも今後同じように出来るかは分からない。それが何時なのかは分からないがそう遠くない日になりそうだ。5年間掛けて築いてきた事は場所が無くなっても変わりはしない。
ウォッカコネクティングピープル
近澤