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Diary 0217-randy-rip

RANDY
Deadstock Pile Pullover Shirts
R.I.P


“ 可愛い ”


可愛い。


可愛いという言葉が飛び交う店にしたい。日頃から良く身内には言っている。男性に向けた服をメインにする上でこれは意外と難しい。男性は可愛いという言葉を女性と動物以外に使う事には慣れていない。可愛い女の子を見て、或いは可愛い動物を見て、可愛い!と言葉を発する時に幾許の邪念も存在しないのでは無いだろうか。直接的な可愛いさだけが正義とは言わない、ブサカワという概念もあるし、一周回って可愛いということもある。

可愛い女の子や動物は大体みんなが好きだ。美味しいご飯も大体みんなが好きだ。ラーメンもそうだ。ラーメンは美味しい。いかついおじさんが朝早くから頑張って仕込んでる事考えれば、ラーメン屋の親父はすごく可愛い。ラーメン屋でも可愛い!って言ってみればきっと味も変わる。

服は所詮布だし、ラーメンは所詮小麦粉と水だし、人間の97%は水だ。大事なのは成分では無く感情であり感覚だ。

私のお店は普段はそれっぽく写真を撮ったり、カッコつけたり、拘りのポイントを商品説明する事が多い。好きだと思った服や人の魅力を少しでも伝えたいだけなのですが、小さい脳みそやキレてないセンスと技術でそれっぽく撮ろうとすればする程、排他的な感じのイメージになったり、鼻にかかったような態度にも取られてしまうような気もしてしまう。朝から33歳の男性が画角を変えるために変な体勢を取りながら何枚も写真を撮っているのを想像して欲しい。ラーメン屋の親父と同じで少し可愛いなと感じて欲しい。

良く考えてみれば、洋服の可愛い写真の撮り方は分からないし、可愛いということの効率的な伝え方も分からない。可愛いというのは伝える物では無くフィジカルで感じる物であるからなのかも知れない。つまり、可愛いということは非常に感覚的であり、感覚的で無ければ認知出来ない存在なのだと思う。しかし、女の子や動物には可愛いという感情を性別問わず概ねの人間が持っている。であれば、頭のスペースにこびりついた洋服に対する偏屈な感情やルールや恥じらいを少し外し、可愛いが占拠する部分・感覚に任せる余白を作ることは出来ないだろうか。

奥さんの買い物について行くと、百貨店に入っているメゾンのブランドでも女性の接客では可愛いという言葉が飛び交う。可愛いと思ったから買う。カッコいいと思ったから買う。感覚的で楽しい。

メンズの洋服の狭く深くの世界には経緯を払いつつ、それ一辺倒の価値観には拒否の姿勢を保ちたい。そして、なるべく気持ちは軽く、晴れやかにいたい。軽いだけでは駄目だ、重すぎてもお腹いっぱいになる。

言葉で服を着るようなストーリーテリングな物が溢れている中、RANDY の洋服はそういう、紳士服の重さとギャルの軽さの間の気持ちで着ることが出来るからとても貴重な存在だと思う。

このプルオーバーはフカフカしてて気持ちが良くて、色んな色が入っているから可愛い。私はこのトップスにトラウザースと合わせて靴下で遊ぶとかそういうバランスに持っていきたくなるけど、文字通り横乗りの感じで着ちゃってもいい。可愛いという言葉は、最終的に本人の感覚に任せるという事でありそこには自由がある。可愛いという表現に拘らず、最終的な決断の理由が感覚的であることが自由であることの査証なのかも知れない。

昨日東京で食べた有名店のラーメンは2,300円もしたけど、口に合わなかった。高級な食材が色々が入り過ぎてて何がしたいのか良く分からなかった。


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