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Diary ADVENT 20241212

ADVENT

ライリーカラー?なんなんそれそれ?

久しぶりに服についてのダイアリー。

 

来年の秋冬用にボンバージャケットが作りたくて、リブについて色々調べてたら、リブだけを見てたらなんかリストバンドみたいにみえてきた。そういえば、たまたま、来店されたお客様がしていたリストバンド肘の上くらいまであげててめちゃ良くて、今度絶対いい生地でリストバンドつくろ〜って決めてたなぁ、なんて全然関係のない事を思い出す。リストバンドといえば、アイバーソンってやっぱ今見てもカッコいいよなぁ、、とか思い始め、バスケ選手のファッションが急に気になり始め、画像ディグディグ。そしたら、パット・ライリーがたまたま現れて、この人モチーフにした洋服、ウチにあったなぁ。と思い出して急にブログ書き始めました。

僕の頭の中は大体いつもこんな感じです。ろくすっぽ計画も立てられず、なんでも突発的に動いてしまいます。ダメなやつです。

そうそう、コロコロ転がってたどり着いたのが、とても綺麗で普通だけどどっか変で愛嬌のあるADVENTの白シャツの話です。残念ながら、12月のこの寒い時に紹介する服じゃないくらいペラペラです。タイプライター。酷い話だ。

 

展示会でこの服はライリーカラーです。彼にはそう言われた。そして、このシャツは必ずオーダーしてくださいとかガメつく勝手にオーダー内容決めてくる。気に入ってたから言われんくてもしますし、ほっといてくれ、変な人だ。

おっと、また話が逸れかけた。そうそう。ライリーカラーなんなんそれそれ。です。
ググってもライリーカラーとかそんなの一ミリも出てきやしない。どうも、パット・ライリーというNBAの名将がしつらえているシャツの襟型から由来されているらしい。パット・ライリーは辛うじて知っていたけど、アルマーニ来てる紳士みたいなイメージしかなく襟について注目したことは無かった。

なるほど、ワイドスプレットのようでそうじゃなく、どことなく丸襟っぽくも見える、レギュラーカラーの落ち着きも感じられるが、なんだか幾分ファニーな面持ちにも映る。一方で、ライリー本人は気難しそうだし、なんか近寄り難い感じもする。なんとなく、奥さんと犬にだけ優しそう。多分、そういった自身の見られ方や他者との接続のためのワンオフの制服として、男性的なエレガンスをもったテーラードに合わせ、抜けをこの襟角度で表現しているのだろう。装いというのは突き詰めていけば、拘ろうと拘らまいと意識しようとしまいと、コミュニケーションの一部へと回収されていく。僕はなるべく意識したいし拘りたい。

ADVENTの服はネット上で値段すら載せないで欲しいなんてとても面倒なことをいってくるメイカーだし、会うたびに長酒かつクダを巻いてくる面倒な性格だけど、彼の生業としての一手がこのシャツには安易なる編集ではなくシンプルかつ大胆に現れている、笑っちゃうような、しかも分かりづらい落とし所へと製品を誘う。

僕が自分でデザインじゃなくて、製図から縫製までやって服作ってみようと思ったのも多分彼の影響からです。小器用にプロデュースするより距離は遠くなるけど時間は早い気がする。齢36、スタートも比較的遅いかも知れないけど生業として長いこと続けたい。

彼自体は別に自分で縫ってるわけじゃないけど、生産に対して丁寧に向き合いながらそれをなるべく売り文句にしないように滑りめのギャグで落とし前をつける。そうしちゃうと残念なかなか、商売としては分かり辛く捻れの位置にきてしまう。けど、その捩れの位置に属している部分に僕は彼の古臭さから絞られたフレッシュなファッションエキスを感じてしまうし、ただのクラシックでも編集でもない大きさを感じざるを得ないし信用が出来ちゃう。

ブランド側が見たことない工場で知らない人が服を縫っているなんてことがあるのも、今に始まらずほとんど当たり前なんだけど、工場の縫い癖から、準備の仕方、社内でのコミュニケーションに到るまで現場で目視し仕様書に活かしているとなればそれは本当に生業だなぁなんて思えるわけです。ほな僕にとっての生業とはなんなんそれそれということで、豊かな服を伝えて、提供していくということに尽きます。そして、このシャツは誰かにとってはとても豊かになり得ると思えたので今紹介してます。30針、手まつり、めちゃ細い縫い代とかドレス系のあの蘊蓄的な拘りもちゃんとあるし、言葉にせずとも作り込みが伝わってくる面をしています。それでいて、値段も良い線を抑えてます。込五本以下です。僕は今の気分はどんな服だとかじゃなくて、ちょっとエモい感じで洋服を見てしまってるから、その辺の事実は案外どうでもいい。かつ、リアルに着られるのがいい。このシャツはエモくてリアルに使えるし、それでいて彼の生業感が伝わってくるので本当にいいシャツだと僕は思う。

社会人になる方や結婚式出席、或いはクリスマスのデート、成人式などオケージョンで良い作りのシャツ探してた人にとってもお勧めの一枚です。鈍臭くて、男らしくてちょっとスケベでスベっている男性像をお求めになられてみてはどうでしょうか。

ブランクあるし、なんだかよくわからない記事になってしまいました。引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

ウォッカコネクティングピープル
近澤