Norwegian Rain – 遣らずの雨 –
[遣らずの雨]
まるで来客を帰さないためであるかのように降って来る雨。
ノルウェーはベルゲン。
そこは雨の街。
「年間380日雨が降る」というジョークがあるほど、天気が変わりやすい。
そんなベルゲンから生まれたブランド Norwegian Rain。
T-Michael氏 と Alexander Helle氏によるコートブランド。
VODKAでは今シーズンから取扱を始めます。
T-Michael氏は、ガーナ出身です。
クラシカルでエレガントな彼の父に感化され服の世界で身を立てるために渡英、その後1人の女性に恋をし、ノルウェーのベルゲンへ。
自身のテーラーブランドを持ちながら、テーラードを基軸とした様々なクリエーションを生み出す鬼才。
日本文化について非常に深い教養を持っており、和装を中心とするT-KIMONOというブランドも手掛けております。
一方、Alexander Helle氏は、雨の多い街、ノルウェーのベルゲン出身。
高感度な機能服を志し、ベルゲン随一の洒落者で知られたT-Michael氏に世界一美しいレインコートを作って欲しいとアプローチ。
再三の門前払いにもめげず口説き落しに成功する。
熱意のお陰か、遣らずの雨のお陰か2人は一緒に2009年から歩み始めます。
今回はそんな世界一美しいレインコートを紹介します。
同ブランドは素材、着こなしの可変性に特徴があります。
まずは素材。
こちらのブランド全ての商品に共通するのが “breatable” “wind proof” “water proof” “recycled”
通気性、防風性、防水性、そして、エコフレンドリー。
Gore-Texに匹敵する機能性を要しながらも、機能性素材特有の素材感では無く、スーツ地のような風合いを追求。
生地パーツのつなぎ目は内側でテーピングし防水性を高めるシール加工を、その生地の裏側には身体から出る水蒸気を外気に逃す薄い膜で覆い、袖通しの良い裏地で着心地を担保しております。
そして、可変性のある着こなし。
当店では代表的なモデル、Raincho(レインチョ)。
ブラックとネイビーの2種類用意しております。
3枚目がネイビーです。
ポンチョをベースに仕立てられたコート。
それでも不思議と成り立ってしまうデザインとパターン。160cmの女性も試着しましたが勿論余裕で似合ってました。
1枚目のようにざっくり着ても宜し、縛っても宜し、袖の絞りも調整できます。
また、ウェストのストリングは太いベルトも用意がありますのでしっかりとウェストマークしたい方はそちらを使用した方が良いかもしれません。
私は181cmと比較的巨体ですが、こちらの着用サイズはxs(Minus)という160cm-175cm用で用意されている物になります。
夫婦兼用という免罪符も持ち合わせた一枚。
おこずかいが圧迫されている既婚紳士にも、明るい交渉材料が見えてきますね。
次に、オンスタイルにも合わせやすいMarais。
ショールカラーのストレートなシルエットのコート。
背面に付いているフードは取り外しが出来、丸めて束ねることも可能。
写真が無くてすみません。
後ろ身頃のインパーテッドプリーツが功を奏し、前から見ればストンとしたシルエット。
横から見ればふわりと身体を空気とともに纏うような形に。
横から見たときにあまりペチャこいとシュッとし過ぎるのでこの塩梅が香ばしいですね。
大きくとったプリーツはジャケットインでコートを来た時の可動域、着心地にも良き影響を与えます。コンフォータブルで程よくスタイリッシュな一枚。
割とかっちりとしたお仕事着のお供から、普段着まで幅広く使えます。
最後は存在感のある新型、Gdansk。
大振りのスキージャケットの上からキルトのケープを乗っけたようなデザイン。
結構強めなアイテムです。
外套的なクラシカルな雰囲気とスポーティ(ストリートと言い換えた方が分かりやすいかもしれません)な空気を纏っています。
フードを被ると軽くジェダイっぽくなります。
横ノリの感じのスタイルから、綺麗なスタイル、そして宇宙の戦士にまでなることが出来る一枚です。
夜のパトロールのお供に。
Raincho / 100,000 + tax
Marais / 140,000 + tax
Gdansk / 145,000 + tax
以上、機能性抜群、かつ独自のシルエットと余白を残した着こなしの可変性が同ブランドの特徴。
普遍的だけど新しい。
シンプルだけど普通じゃない。
そんなブランドです。
服を良く知る大人がこれは!となるデザインばかりですね。
価格は優しくないですが、優しさに溢れたデザインでもあります。
私もT-Michelの慈愛の深みに触れ、遣らずの雨ではないですが、ついつい長居したくなるそんな大阪らしいお店にしていきたいなと思いました。
J-Chikazawa