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A MACHINE ORDEREXIBITION

A MACHINE
“Love and against is the future and the past.” (2021)

Designer interview part.2

 先日のインタビューはコンパクトに A MACHINE について金井さんに質問し答えて頂きました。このような取組は人生で初めてなので、上手く纏められていないかも知れませんが、興味を持って頂けると幸いです。本日は、インタビューが終わってからの、僕と金井さんとの会話を纏めたものを掲載します。言葉使いが良くない表現もあるかも知れません。合う合わないあると思います。けど、そうなんだよなと共感してくれる人もいるはずです。それも含めて、金井さんであり、僕であり、A MACHINE であり、VODKA connecting people であるので最後まで読んでいただけると嬉しいです。気づけば、殆ど服の解説をしてませんでした、、

VODKA connecting people 近澤 (以下、近)
 小さくて力の無いお店ですが、洋服に対する愛情ってゆう言葉を掛けてくれるのはとても嬉しいです。新しい時代を作りたいという事は何となく分かります。ただ、僕の場合は熱狂的な状況を作りたいとかでは無く、自分が面白いと思うことをして、それを自然に受け入れてくれたらいいなと思ってます。それにはコミュニケーションが必要なので、とても時間が掛かると思っています。流し素麺とか、餅つきとか全然服と関係ないイベントもしたいんです。笑
 新しいかどうかよりも自分が良いと思える物や事を理解することが大事なのかなと考えてます。その純度が良い循環を生むのかななんて思ってます。多分、言いたいことは一緒なんだと思います。

A MACHINE 金井(以下、金)
 確かにそうですよね。僕らが純度という言葉を使うのは簡単ではないとは思うのですが、本当に大切な事だと思います。

ご飯食べて行かないとダメですもんね笑 僕も去年まで朝から焼肉屋でバイトしてからお店に空けて、23時までお店、という地獄のようなスケジュールでした。

ですね笑 でも僕は純度がなければ断ってます。お金が良くてもそれならバイトした方が良いですね!生々しい話ですが笑

新しい時代を作りたいと考えているとのことですが、今の時代についてどのように感じてますか?

他の国の事や上の世代のシーンを同じ時代で過ごしているわけではないので分からないですが、僕らの世代で言うと現状未来があまり見えてこないように感じます。

現状、未来が見えないというのは洋服に限らず日本全体に被さっている閉塞感みたいな事でしょうか?

それもあるんですかね。ファッションに限った話になりますが、もちろん洋服作りの面で面白いテキスタイルやパターン、技術のあるブランドはあるんです。ただ、テクニック的な部分はやり尽くされてると感じる事もあるし、僕らみたいな小規模なブランドではコストやロットの問題で作れなかったり、大きいブランドに価格の部分で太刀打ちできないところはあると思います。だからこそ、大量生産できない作り方や他ジャンルとの親和性を持つことが必要だと思います。そう言った意味では、2010年頃に、幾つかのファッションブランドが所謂オタクカルチャーとの親和性を持ち、これが日本のファッションだと提示し、世界的に認知されたのは、好みの問題は置いておいて、面白い流れだったと思います。

本当に難しいですね。生産的なロジックは素人同然なので、分からないことの方が多いのですが、小売店も同じように、やりたい事と出来る事が完全に一致することは中々無いですし、矛盾はいっぱいありますよね。けど、その中で譲れないものをちゃんと持ち続けることが純度だと思うんです。小規模だから出来る事って、これも方法論的になるとまた矛盾が発生すると思うんです。それって凄く短絡的なマーケティング的思考ですよね。

確かにそうですね。僕らくらいの規模のブランドでも外部が絡んで作りたいものが作れなかったり、発表の形式をブランドの本意とは別の形になったりしてしまうことをよく耳にします。そうならない様、身動きが取れる状況で独自のスタイルを作らないと今後は面白いものが出来なくなってしまうなと思います。僕は所謂アートの展示のように色々な場所で独自の発表形式、コミュニケーションの取り方があって、ワクワクして見に行くような感じになればもっと面白いなと思ってます。そう言った点で、2010年前後のファッションブランドは、ワクワクする何かを作ろうとしていたように思います。

こんなのアリなんだ、とか、そんな事考えもしなかった。みたいな感じですかね。僕はどちらかと言うと否定的な立場で見てました。物としての表現が強すぎてリアルじゃない、僕にとっては着る物なので、アートでは無いし、何度も着ていくうちに何か感じたり愛着を持ってくれる余白が無い。

そうですね、賛否あるかもしれませんが、そうやって時代ができているので良いなって思ってます。ただ、僕も作る側として若い時に一時的に着て飽きてしまうものは作りたく無いですね。僕の友人や北野武みたいにかっこいいご年配の人にも着てもらえる洋服を作りたいです笑

それは本当に理想です。そういう幅広い層に刺さるようになるには力蓄えないといけませんね、、 
 僕のお店も年齢層問わず来て欲しいんですが、情けないですが現状その力が無いので難しい。だからお客様と一緒に歳取っていきながら、若いお客さんにもずっと来て貰えたら10年後には自然に年齢層広がるのかななんて思ってます。

そうですね、その上で新しい提案や価値観が大事ですね。どちらかに振ってしまうとイケてる古着でいいってなるか、僕らが普段着ない突飛な洋服になる可能性が大きいですもんね

あと、金井さんは未来が見えないって仰りましたが、僕は結構楽観的です。1990年以降に生まれた、大人びていてセンスの良い人達がどんどんブランドを始めてる印象があります。今の状況に弊僻した、才能のある人たちが立ち上がってきている気がします。

そうですね、僕もそれは思います。近澤さんのお店で取り扱ってるISSUETHINGSとかまさにそうですよね。ただ、僕自身もっとファッションの衝動感みたいなものが欲しい。中高生の当時、そんなにファッションに詳しくない僕がNumberNineやPhenomenonに物凄いパワーを感じました。それを作りたいって思っていて、あの時代では一過性のものだったりしたかも知れませんが、昔の自分を裏切らず今の自分も素直に着られるものを作りたいって思ってます。
 19歳の時に新潟のトリエンナーレでChristian Boltanskiの作品を見て現代美術を全く知らない僕がステートメントを読まないで言ってることがなんか理解できて、色々見てる今でも好きだし、なんかそういうものを作りたいです笑

近:金井さんの向かいたいというか、作りたい空気はとても分かります。ただこれは、作り手だけじゃ出来なくて、多分、洋服好きで服を買う人達が作り上げるムードが存在するのかなと思います。
 それは、今のトレンドつまんないなぁ、今のファッションつまんないなぁ、なんていう負の感情というかフラストレーションが蔓延して、そこにうまくタイミングが合うかどうかで熱気が作られてきた気がします。今、なんとなくその閉塞感がピークに近づいてる気がするんです。

※社会学者の宮台真司さんがNEWSピックスの対談で日本に蔓延している閉塞感について、毒を吐きまくっています。クズとか汚い言葉連発してて腹が立ちますが、多分優しい人だと思います。
NEWS PICKS 【思想をRethinkせよ】宮台真司と波頭亮が、日本の未来を見つめ直す。https://www.youtube.com/watch?v=TEVYKOy6zso

本当にそう思います。売り手やお客さんがいて成り立つものですよね。僕の場合気付いたのが最近でした、、自分たちが強ければなんとかなると思っていて、理解できないだろ、みたいな感じで笑
 言葉を選ばず言うと、自分が思う、イケてるお店ってあまりないから、感覚として諦めてたんです。だから、今までちゃんとバイヤーさんを呼んでなかった。所謂セレクトショップって、そのブランドを買いに行くだけの箱に感じちゃってるところがありました。

 でも、東京と大阪でお店をひたすら回る日を作って色々行くと面白いお店は知らなかっただけでやっぱりあるし、そういうお店に置いてもらいたいと素直に思うようになりました。胸が痛い話です、、笑
だからこそ近澤さんのように実直で骨のあるお店でできるのは嬉しいですし心強いです。

ぼくもまだ見ぬ新しい物をという思いがあり、青い鳥症候群的な状況が続いてたので分かります。新しい物、価値を伝えていきたいのは変わらないですが、お客様がいて初めてそれが成り立つし、お客様の生活とか趣味とか笑いの感性とか、ファッション的なマウンティングじゃなくて、もっと身体の奥というか、人間的な営みの先にある物で無いと意味がないなぁって思います。なので、友達になる感覚でお客様と接してます。
 僕の場合、素直にいいなというブランドも沢山あるし、僕なんかが店をしなくても、面白いなと思う人やお店も沢山あるなって思うのですが、それでも世の中の服を売る仕組みにはモヤモヤする部分が多い。それでも服が好きで服屋を自分でしたかったので、それなら僕にしか出来ないお店作りをしようっていう思いでやってます。これからはブランドがお客様に直接売っていく時代だと思うし、正味セレクトショップの存在意義は少しずつ薄くなると思います。

 自分らしいお店というのは模索中ですが、こうやって褒めて貰えると頑張ろうって思いますね笑

確かにお店もブランドもたくさんあるけど、イケてるお店やブランドはもう少しあってもいいんじゃないかなって思います笑

イケてるイケてないって難しいですね。趣味嗜好のことでなく、青臭いかも知れませんが心の底から楽しんでるのか、脅迫観念から来る物なのかってことに近いのかも知れないですね。松尾伴内の番組衣装とか僕は着たくないですが、とても好きです。本当、本人が楽しんでるかどうかって事だと思うんです。

僕はもっとフィジカルにファッションが楽しめる時代になるように努めたいと思ってます。ネットで買うのも楽しいんですけどね!そういう流れを作るつもりだし、そうなる雰囲気を感じてます。個人的にはお店はこれから大幅に減って、ここでしか買えないとかこの人から買いたいとかこの場所にまた来たいってお店だけ残ってくれればいいなって思っています。
 服を好きになりたての若い子達にマウント取って洋服を売っているのを見ると悲しくなります。でもお店を回るとそんなお店多いですよね。若いブランドでもビジネスにマネジメントが入って自分がどこに向かってるかわかっていないところが多いと思います。めっちゃ売れてるらしいけどイケてる人が着てるの見たことないなって。でもそうなったらもう戻れないし僕らはまだまだ成長できるということですね!ポジティブに言うと笑

分かります。言葉を選ばずに言えば、経済的な理由以外であなたがやる必要はどこにあるの?みたいな物や店が多いと思います。僕はオンラインショップは積極的にはやってないんですが、物理的に他府県のお客様だと当然すぐに店に来るのは無理があるしECはやはり必要。発送する時には、文通を始める気分で一通一通手紙を書いてます。梱包の仕方も商品の特性に合わせて装飾して送付してます。遠くても、ネットでも、その先に人がいる事を意識してるし意識して欲しいんです。
 百貨店でバイヤーを少しだけさせて貰ってとても楽しかったんですけど、買ってくれるお客様は僕の事なんか誰も知らないし、買ってるブランドがすごいだけだし、会社がすごいだけで僕の存在なんか意味ないなぁって。今は独立して、あまり買ってくれないお客さんでも、就活の相談に来てくれたり、卒業の報告してくれたりするのが本当に嬉しい。結構お店は入りにくい感じでやってますけど、大人の部室ってテーマでお店をやってるので、一回僕と喋ったらいつでも遊びにこれる空気を感じて貰えると思います。買う気が無くても遊びに来て欲しいんです。それでも買う気にさせるのが僕の仕事ですし、それで満足してくれた時は本当に嬉しい。まあ人間なので例え来店された方でも合わないなって人も勿論いますが、、それが僕なりのフィジカルな楽しみ方だと思ってます。伸びしろがあるという事で、ポジティブにお互い頑張りましょう

頑張りましょう。

 繰り返しにはなりますが、4月2日(金)から4月5日(月)迄の4日間、当店の2階にて、今回のコレクションとそれの対となるオブジェクト、また過去のコレクションから、DAIKEI MILLSとの共作であるHead Lightなどを展示販売致します。普段の営業時間は現在、19時までとしておりますがこの期間に於いては、13時から20時までと1時間だけ延長して営業致します。

 金井さんの在廊日は土曜日と日曜日の二日間を予定。万が一、とても行きたいけど、営業時間に間に合わないという方がいらっしゃいましたら、当店のINSTGRAMのDMに連絡下さい。アポイント貰えれば延長します。

 勿論、沢山の人に観てもらいたいのですが、こういった予断の許さない状況が続いているので、状況に応じて人数制限を設けさせて頂く可能性がありますことご了承下さいませ。事前に連絡頂いたお客様は優先してご案内できるように致しますのでDMの方にご希望時間のご連絡をお願い致します。それでは皆様のご来店を首長くしてお待ちしております。

VODKA connecting people
 近澤