Diary-2023.10.19. A MACHINE Beginners Broken Jacket

おやおや、これは明らかに中綿以外の何かも一緒に込められているなぁ。。

そんな服があると、どうしてこの服を作ろうと思ったんだろうと気になります。大抵の場合、一言で表わせる事が出来て、個人的な感情がそこに乗っかっている事が多く、そのような場合は僕はとても好きになってしまう。このジャケットはまさにそんな類いの物でしょうか。ぬいぐるみに感じるような愛着を持ったジャケットが作りたかったそう。一見すると手仕事系のジャケットのタッチにも思えますが、アプローチその物は粗々しくストリートなマインドを感じさせます。

シェイプの効いたスマートなジャケットをトワル組の際に設計しそこから再び肥満体になるように設計し直しています。肥満体がより強調されるよう80g/m2の中綿を詰め、水通しした裏地を使い製品洗いを掛けることで表地のみを縮ませております。使用している水牛ボタンは個体差が生まれるようにブリーチを施すことで歪みを生じさせており、ボタンホールの位置や大きさもまた不揃いに仕立てています。

中綿で膨れていて、強いシェイプが効いたジャケットは着る人の体型やキャラクタによって見えてくる雰囲気がまた違ってきます。時には現代的で都会に馴染むようにも見えますし、鎧やプロテクターの如く写ることもありますし、ジャケットの存在そのものが普通に見えてくるほど普通に馴染んでしまう人もいます。本を読んだり何処かに出歩いたり勉強をし知識を積むのと同様に、新しい物や折に触れて影響を受ける事もまたインプット。何よりそれを着て楽しみ、着てさらに知ることが出来るのがファッションの実践的で楽しくて開かれたところでしょうか。似合うとかそういった物差しよりも自分が着たらどうなるんだろう、どう見えるんだろう、何を引き出してくれるんだろう、そんな感覚で楽しんでもらえれば最高です。

ジャケットでフリーサイズで形も特殊なので採寸結果も感覚では当てにならず、今回、色んな方に着てもらいました。

渋いマッドサイエンティストが着るとドクタージャケットのよう。
賢そう、万年筆が似合いそう。