Diary-2022.08.04

A MACHINE “Solo”(2022)
Delicate Checked Shirt

“トウフ屋 ”

薄く、柔らく、ネップが入った淡い色のギンガムチェック。 

補修用にと添えられたミニ裁縫セット。

包み釦。 


キュートなVゾーン。 

極々薄くラウンドさせた後裾。 

　

敢えて身頃と柄合わせをした胸ポケット。 

共布の缶バッチ。 

- 

基本的にチェックのシャツジャケットは胸ポケット位置が分かるよう、バイアスで生地を使ったり、柄をその部分だけズラすことが多い。ここを敢えて、丁寧に柄合わせを行なうことで目立ち難く平面に感じるよう仕上げている。そして、それだと胸P位置が分かりにくくなるからと、そこに缶バッチで印を付けたそう。なんて周りくどい事するのだろうか。ポスト- ポケット位置情報。 
※付属の缶バッチは二個付いてます。好きなところに付けていただいて大丈夫。

- 

ここだけ聞くとイナた系のそれの空気感があるようにも思えますが、緩くなく、形は綺麗なボックスで仕立ては軽い。それでいて、袖のつき方はジャケットらしいストイックな付け方をしています。なので、Tに合わせても薄セーターでも大丈夫。 

“今”の空気感だけに頼らず、そこは彼らしく真面目に格好のいい形を追求することでとッてもニクイ塩梅に仕上げている。 


確かTrump Trousersという、上の写真で履いている商品についての説明を受けている時だったと思う。小津安二郎監督の映画をふと見ていた時、人間として背筋を伸ばさないとと思い返した。これらのフクにはそういった感覚が流れているんです。みたいな、そんな事を言っていた。 



私はそんなに多く映画を見るタイプではなく小津安二郎についてのその部分を映画を通して語れる素養は無いけれど、僕は“僕はトウフ屋だからトウフしか作らない”という彼のエッセイ集を読んでちょっと刺さった記憶が思い返された。全部は読んでない気がするけど。結局、自分の身から出た何かからしか自分のやるべき”らしさ”は見つけられないのでそこに対し真摯に向き合う。何かを行なう姿勢という意味ではフク屋としてとても頷かされる。 



彼もまたトウフ屋であり、トウフ屋によってニガリの入れるタイミングや、トウフの包み方、大豆の使い方も価格も異なる。必要としてくれる人に失礼の無い様に、ここにしか無い方法で質を高めて気持ちの良い買い物をして貰う。ヒトとしての営みを意識することで気付けば長く愛され続けるポスト何某が生まれるのでは無いか。 


A MACHINE の発表の方法や商品の内容から、よりファッション的で(勿論凄くファッションなアイテムなんですが)今に左右され易いのでは無いかと初見でそう感じてしまうかも知れない。 

しかし、A MACHINE は生産に係る人、販売してくれる人、購入してくれるお客様、全てに真摯に向き合いながら、新しさと変わらない部分とをどう表現するかという真面目なフク屋だと私は思う。それは、過去に行っていたインダストリアルな家具などフク以外の物を販売する事があったとして、それも含め、真摯に向き合った結果がそこにあるという事です。 


時代と共に変化していくという世俗において最たる物がファッション的な物/流行であるとするなら、その変化の部分に外側から否定するのではなく、変わりゆく物についてどう人間本来が持つ温かみを加えられるか。 


そういった部分が強くこのシャツジャケットの”塩梅”に見え隠れしているからか、個人的にはとても心地良く感じられる。　 


今回の“Solo”(2022)は、器用になって身に付いたテクニックとか小賢しい部分、全部無くなっちまった時に何が残ってるかなぁ。そんな感じなのかも知れない。 


インスタグラムの投稿を見て何人かが連絡をくれている。30半ばの昔からのフク好きの知人達にはすこぶる評判も良く、10代、20代からこの服を手にしててもきっとちゃんと補修しながら使い続けてくれるんじゃないかなと自然にそう思います。 




ということで、 皆さん寄ってらっしゃい。 
見てらっしゃい。 いいトウフ入ってるよ。




A MACHINE
Delicate Chacked Shirt / Light Blue

Price 34,000 + tax / 37,400 taixincluded

Size  　1 .  /  2 .
肩幅    46  /  48.5
身幅    55  /  57
袖丈  61.5 /  64
着丈　66  /  68