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量子力学的観測と物理的実存とニットパンツ

 

量子力学的観測と物理的実存とニットパンツ”


 

高校生の時は都市伝説が大好きだった、童貞が集まってコンビニに売ってる安くて分厚いよく分からない本を読んで一喜一憂し、星を見ながら公園で都市伝説や陰謀論、宇宙の話で盛り上がり同級生と時間を潰す。なんて馬鹿な過ごし方なのだろうか。

男はみんな宇宙が好きだ。

大人に近づくにつれ、昔通ってた遊園地は小さく見え、怖かった学校の先生はその辺の小柄なオッサンに思え、憧れの地元のダイエーはちょっと大きいスーパーでしか無い事に気付く。大きく見えてた物が色んな物が小さく見え、新鮮さを失い、社会に出て少しずつ世の中が分かった気になっていく。それでもいつだって宇宙は大きくて遠くてよく分からない。良く分からない物に思いを馳せる事が宇宙への憧れの本質なのかも知らない。

大学生になっても宇宙や世界についての会話は尽きなかった。少しだけ大人になった文系の少年は背伸びをして量子力学に関する本を手に取り世界について知ろうとした。

古典脳で頭が悪いからか、全然分からなかった。理屈では無く事実しか書かれていないからだろうか。分からないけど、分かったような感じで友達と量子力学を酒のツマミにして夜更かしをしていた。

日常的な感覚で理解が出来る古典物理とは異なる原理に支配される小さな小さなミクロの世界の話。そもそも理解をするという類いでもなく、ただただそのような性質があるという事実を受け入れるしか無いのかも知らない。

ミクロの世界の量子力学的な観測と物理的な実存でしか説明できない事がこの大きく小さな世の中や宇宙には存在している。その事実を応用する事で開発された量子力コンピュータや、高精度なセンサなどにより世の中を一層便利になっている。そんなよく分からない事を理解するために検証された事でもあるからよく分からないに決まっている。量子という存在やそこにまつわる力学については、この二重スリット実験の記事が漫画になっててめちゃくちゃ分かり易い。観測する事が量子の存在に影響を与え、観測される瞬間に世界が決まる。粒子がどちらのスリットを通ったか、人間が観測するという行為をしただけで、電子は粒として振る舞うようになった。観測をやめると、また縞模様が現れる。
https://www.yamanashibank.co.jp/fuji_note/culture/double_slit.html

 

因みに、二重スリット実験についてもう一度調べなおした。ミクロとマクロの世界の違いやこの実験についての結果と解釈については最新の報告では間違いがあるという否定的な意見が多いようだ。

 

 

この実験が間違えていようが間違えていなかろうが日常は何も変わず変わり続けるし、量子コンピュータも関係無く高速計算をし続け生活を便利にし続ける。ジンジャエールはこんな味だっただろうか。

 

 

余談過ぎる宇宙と量子力学の話は長くなったが今回紹介するニットパンツは吊るしているとスリットは閉じ、履くとスリットは左右に開くことで形が崩れてしまう。二重スリット実験に言葉を寄せにいっているのは察しの通り。

一般的に綺麗とされている形は必要な時には観測時にその姿を見せず、用を足さない時のみ綺麗に収縮している。本来の形はどちらなのだろうか。どちら本来の形でどちらも本来の形では無いのだろうか。鳥が先なのだろうか卵が先なのだろうか。

展示会の時になんか良く分からないズボンがあるなぁと思い、相川さんになんでこれを作ったのか聞いてみた。このニットパンツ – GRAVITY は履いたら存在が崩れるような物を作りたかったそう。

 

なるほどなぁ、、二重スリット実験じゃーん!とテンションが上がりました。ミクロの世界じゃないし、観測と物の関係もまた少し違う。それに実験は間違っていたかも知らない。

 

 

目に見えるようでホログラムのように手に取れない捉え所の無い裏切りと、ぬいぐるみのような愛らしさが確かにそこにはある。

ワンタッチでこんな事が出来てしまうのは天才だから。では無く、きっとよく考えて、沢山アイデアを捨てたからだと思う。

そうです、RANDYの服は良く考えられて作られています。

RANDYは所謂前衛的なアイテムが多く、アイデアマンがノリで作ってるように思われているかも知らない。僕は相川さんがノリじゃ無くて良く考えて物を作っている事を知っている。僕はその中でも、シンプルな方法で前提を覆す相川さんの思考に新しさを覚える。

その点において、このニットパンツ – GRAVITY はとても良く考えられていて、シンプルな方法で前提が覆されていて、よく分からないけど履いたらとても心地の良いアイテムだと感じる。

僕の悪い癖で、言葉を補足すると野暮にも思えてしまうようなハイコンテクストな発想にどうしても言葉を補足したくなってしまうのだが、多少なりともデザイナーズウェアを楽しむという原理において、今っぽさや気分は勿論の事、こうでもして本人の思考回路というところに入り込む補助線を引いてお店でお待ちする方がお店で悪い癖が出ないので良いかも知らない。その上でみんな自由に好きに楽しめば良いし、それが出来るだけの懐を持ったアイテムを用意すれば良いだけの話にも思える。

 

軽くて重い、重くて軽いGRAVITY。重くて軽い、軽くて重いGRAVITY。

RANDY 2023 FALL&WINTER
NEW SPACE

GRAVITY / Size 2
Orange. / Blue.
53.900 yen taxin


VODKA connecting people / 大阪府大阪市西区江戸堀1-18-5
Jun Chikazawa / 近澤 惇

Brands.
A MACHINE / ENSOU. / EESETT&Co. / Reverberate
ISSUETHINGS / C.P.COMPANY / Nonnotte
GABRIELA COLL GARMENT  / O.I.R.A.
Call / RANDY / Scha Hat