Diary-2023.09.14. Gabriela Coll Garments

昨年からお店をどうしていくかってところで、めちゃくちゃ悩んでまして、度々とある芸人の生き様や売れ方、毒づき方について話をしておりました。自分がそれなりに気合いと時間を掛けてやってる事がほんとに他の誰か多数にとって必要な事なのだろうか。

嗜好性が強い衣類を置いている中で、年齢や精神性、性別問わず多種多様な人が出入りしやすい環境を整えるというのは客筋も読めず戦略なき悪足掻きのようにも感じてしまう。それでもあと一歩と思いながら生きながらえ戦略らしきものの靄のような輪郭が現れることで、もう少しもう少し、エイサーオイサーとお尻を自分で叩いてみるのです。

そもそもファッションというのはそれその物が一つの言語として1人歩きすることで楽しむことが出来る物で(個人的にそう思っている)講釈垂れ続けるもんじゃないんだぞ！とは思うんですが、結局、右みても左みても僕が1番講釈垂れ続けているんですよね。エゲツナイ自己矛盾がそこにはあるんですが、性格と能力の不一致によるSNS上でのアプローチが不得意、という現代において致命的な欠陥を持つ当店において、補助線を引く意味でも駄文が必要な訳で。店頭に毎日のように沢山人が来るならこんな事しなくてもいいんです本当。こうやって頑張って書いてるダイアリーだって、ただの広告です。けど、何もしないでいたらお客さんが来る訳ないですから。

そしたら、ほな、洋服屋 / セレクトショップって何よ？なんなんそれそれ？と思う訳です。
極論ですが必要性は確実に無くなっていて、直接ブランドが販売すれば良いと思う訳です。
そこに土地的な理由やフィジカルな場所と価値や認知を高めることを求めるから中長期的な利害が一致してセレクト業態が成り立つ訳です。

その前提条件のもと、セレクトショップの市場論理というのは、他人のフンドシを如何に綺麗に履くかで競い合い高め合うのが市場が健全であるための必要条件のようにも思えます。キュレーターっぽい感覚のお店も表現としての違いでしか無く、本質は同じ。様々なフンドシがあって、飾り方、巻き方、捉え方で補助線を引き価値を高める努力をし、それぞれの方法について複合的によく考え、物理的に訴える事がフィジカルなショップの役割だと考えています。

僕は基本的に一つずつの理解を深める事を主としてフンドシ商売を行っています。結果としてそのフンドシがとても良いフンドシだと世間に広まってくれて、フンドシ賃借人同士で高めあう関係であればそれはとても素晴らしい事だと思います。売れなきゃ続けていけないんだから。

くだ巻いた話はこの辺にして、今日紹介したいのはどうしても仕入れたかった洋服の話を少しだけ。件の芸人の話をしてる時、丁度オーダーをした水色のシルクのシャツ。最高にかっこい〜。

ガブリエラコールガーメンツといえば静的でモノクロで少しの土着と手仕事を感じさせるイメージでしたが、完全に裏切られました。この秋冬や次の春夏も含めて、明らかに動的な空気を作り出しています。その流れに乗るも乗らぬも自由ですが、このシャツの説明している時の別嬪さんのガブちゃんはそれはそれは楽しそうなご尊顔をしておりました。

国は違えど自身が積み上げた土壌のうえでファッションの楽しさについて再考しているようにも思えます。土着でもコンサバでもモードでもなく、より感覚的でよく考えられた粗野な怒りを。

このシャツはちょっと高いし強い色だから難しいかな？でも最高にかっこいいな〜そんな感じでお店に並べてます。ムチムチのシルクサテンクレープ。サテンクレープというのは経に無撚糸、緯に右撚左撚の糸を用いて朱子織で仕上げたソフトなシボとしなやかなドレープが特徴のテキスタイルです。

ガブちゃんの特徴でもある少し長い袖丈や、ダーツの入らないボックス型による余り分量からのドレープ、男性的な襟型、それらのディティールと生地の特性がとても上手に噛み合い、物そのものを見るだけでも迫力として伝わってくるように思えます。語らずとも、言語化出来ずとも、そこにそれがあるだけで伝わるもんがあるとやっぱり気持ちがいいもんですね、

軽くて重くて、重くて軽いかっこいいシャツ。

ガブちゃんを扱う上でお店の役割として、バイヤーとしてナイスバイイングが出来たんじゃないでしょうか。(めっちゃ悩んで、飯田くんに一枚しか仕入れないのに沢山相談したんですが)

Sizeは４(Lサイズ)で、175cm前後の方がジャストサイズ、大きく着たい方なら170cm前後でも良さそうです。
価格は少し張ってしまいますが 税込84,700円です。
これでも円安の中、結構頑張りました。

 肩幅 / 47.5   身幅 / 61.5  着丈 / 78.5   

気になる方は店頭若しくはDMまで